LA TACHE Grand Cru 1989, 04685 / Domeine de la Romanee-Conti
1989年のブルゴーニュということで10日ほど前にクロネコでH女史宅に送り付け、セラーに寝かせるのではなく、冷たいところで立てておくようにお願いしました。ブルゴーニュでもこれくらい古いと澱が出てきます。しかも、ブルゴーニュの赤は、澱が出始めると細かい澱となるので、デカンタージュをしても取りきれないことがあるからです。10日も立てておけば、これまで30年近く寝かせておいた瓶の中の澱も、瓶の底に沈むのです。
グラスにワインを注いだ瞬間、花のような香りが辺りに漂いました。注いでいる最中のワインの色合いは、まさに煉瓦色です。香りはまさに官能的、妖艶さが出ています。どのようにこの香りを表現したらよろしいのか、悩みに悩むところですが、下世話な表現が許されるならば、SEXYと言っても「すぐにお願いします」というSEXに直に結びついたセクシーさではないのです。自分のすぐ前に素晴らしいSEXに導いてくれるようなそんな目に見えない香りが漂っており、常に手招きをしてくれる、そんな官能的な香りなのです。
味わいはファーストアタックはもうこれ以上ないというくらいすべすべしていて心地よく、酸と糖分のバランスも、力強さも申し分ありません。しっかりしていますが、口に含んでいる間も、アフターも味わいというよりも、この妖艶な香りが常に口中にいる感じで、まるで体がふわふわ浮いているようでした。
1-2年パリのアパルトマンのカーヴで、以降日本の手作りのセラーで20数年保管してきましたが、壊れておらずほっとしたのと同時に、思っていたよりも何倍も、数段も美味しかったので、とても嬉しくなりました。
La Tâche
ロマネコンティの南に位置する「6.06ha」のピノ・ノワール種のブドウ畑で、DRCが単独で畑を所有しています。斜面の上下に広い畑のため、上部では重厚な、下部では繊細なブドウが採取されて、双方が交わりあうため、複雑で濃厚な味わいを生み出しています。
年間「約1,800ケース」が製造されており、1929年には「8万8125ドル」という値がついた記録も残されています。また、ラ・ターシュのワインは“悪いビンテージでも比較的安定して美味しい”と言われています。
色濃く、かなり凝縮された印象の味わいは、時に“ロマネコンティの腕白な弟”と呼ばれるほどで、独特の力強さと複雑さと強烈なアロマを感じさせてくれます。
力強いストラクチャーと類稀な長熟タイプであることのほかに、この偉大なワインはトリュフ、森の下草、なめし革、毛皮などの力強い第三のアロマを広げます。当然のことながら味の強い肉、ジビエ(蒸し煮、ソースまたはシンプルに網焼き)がよきパートナーとなり、また仔牛のローストやうずらのたたき湯葉巻きも、すばらしい Pinot Noir のしっかりしたエレガントなタンニンにくるまれることでしょう。(ブルゴーニュ・ワイン委員会)
【Vosne-Romanée 村】
Échezeaux (Flagey-Échezeaux) と Nuits-Saint-Georges に挟まれた Vosne-Romanée はCôte de Nuits 地区の真ん中を占めています。畑は標高 250~310mにあり、東と南東向きです。ブルゴーニュの首飾りの「真ん中の真珠」にあたる、Vosne-Romanée はエースを4つ集めるだけでは満足せず、世界的な名声のグラン・クリュを6つも抱えています。ヴェルジのサン・ヴィヴァンの修道士(クリュニー派)とシトー派の修道士が、1000年も前に、この類稀な terroirs を発展させました。18世紀、コンティ公は自らの名を畑の一つに与え(1760年)、以来その名前は畑とずっとともにあるのです。 Romanée-Conti は世界最良の畑の一つです(常にモノポール)。その隣の Romanée-Saint-Vivant は、高台にあり、現在修復中のサン・ヴィヴァン修道院の名がついています。ヴォーヌ・ロマネにある醸造所からここまで専用の小道があり、この周辺にあるDRC社所有のLa Romanée, La Tâche, La Grande Rue はいずれもモノポールとなっています。 Richebourg は金持ちの街という意味で、Vosne-Romanée の人気が昨日今日始まったのではないことが、この名前だけでもわかります。
Romanée-Conti は粘土質が多い褐色の石灰岩の表土(60cm)の上にあります。隣の Romanée Saint-Vivant も同じ土壌だがが、より深い(90cm)。斜面の上部は傾斜がきつく(12%)粘土質は少なくなる。 La Tâche と La Grande Rue は上部では褐色の石灰岩の浅い表土で、下部ではより深くなる(レンジヌ)。Richebourgの斜面も同様である。土台はPremeauxの硬い石灰岩。地質は1億7500年前のジュラ紀です。
これらの赤のグラン・クリュは長熟タイプで、通常少なくとも10年は寝かせることができます。20年から30年に及ぶこともあるほどです。それぞれがヴィンテージや熟成による変化にもとづいたはっきりした個性をもち、これらの華やかな赤ワインはブルゴーニュの Pinot Noir の繊細さ、複雑さを余すところなく表現しています。濃いルビー色は年とともに、真紅に変化し、口に含むと力強くはっきりとしたボディ、デリケートで官能的、ストレートで複雑さを感じることができます。
【DRC社の6つのグラン・クリュ畑】
★Romanée-Conti
醸造元を象徴する畑で、ドメーヌのもつ赤ワインの長所を凝縮した見事な味わいを生みだし続けています。壮麗、豪奢、神秘、奇跡、気品…と賛辞は限りありません。そのワインは信じられないほど長い間、口中に香りをとどめます。1.8haの全てを所有。 平均樹齢52年
★La Tâche
ロマネ・コンティ畑の南に位置し、斜面の上下に広がるため、上部の重厚さと、下部の繊細さがひとつになって奏でる独特の複雑な深みをもちます。色濃く、凝縮された印象のワインでしばしば「ロマネ・コンティの腕白な弟」と表現されます。6.1haの全てを所有。 平均樹齢年 45年
★Richebourg
ロマネ・コンティ畑のすぐ北に隣接。果実味に富んだ極めて魅惑的なワインで、熟成されるにつれて信じがたいような華やぎと官能的なまでの艶やかさを身につけていきます。その香りは「百の花の香りを集めてきたような」と形容されます。8ha中3.5ha所有。 平均樹齢年 39年
★Romanée-Saint-Vivant
ロマネ・コンティとリシュブールの東に広がり、斜面の下部に位置。繊細さの極みともいうべき風味の中に、大地からくるミネラルやハーブを思わせるようなニュアンスがまじり、特有の気品ある世界を織り成しています。9.4ha中5.3ha所有。 平均樹齢33年
以下はFlagey-Échezeaux村
★Échezeaux
グラン エシェゾーの西と南に広がる畑で、味わいはしばしば「グラン エシェゾーの弟」と表現されます。ドメーヌ ド ラ ロマネ・コンティのワインの中では最も早熟で、早くから楽しめます。軽やかで優美な、親しみやすいワインです。37.7ha中4.7ha所有。 平均樹齢31年
★Grand Échezeaux
ロマネ・コンティの北方約1km、有名なクロ・ド・ヴージョのすぐ西に隣接。赤や黒の果実の香りが凝縮されたようなまろやかで、コクのある極めて魅力的なワインを生み出します。「深い森を散策する夢見がちな貴族」という形容も。9.1ha中3.5ha所有。 平均樹齢51年
*Flagey-Échezeaux村のテロワール
Flagey-Échezeaux 村の上にあり、平地にある畑は、Côte de Nuits 地区の Vougeot と Vosne-Romanée の間にあります。畑はすべて東向きです。Grands-Échezeaux は Musigny 村の南に一列に並んでいて、境界はオルヴォー谷の下となっています。Échezeaux は Clos de Vougeot と Vosne-Romanée のプルミエ・クリュの畑を裁断するように存在しています。Grands-Échezeaux と Échezeaux は1937年7月31日にAOCグラン・クリュに認定されました。Clos de Vougeot 同様に12世紀から、13世紀にかけてシトー修道院により創設され、畑が壁で囲まれています。ガロ・ロマン時代には chesaux は住居のまとまりを指す言葉でした。おそらく古代の小集落だったのではないかと考えられています。
地質はジュラ紀(1億7500年前)。Grands-Échezeaux はかなり均質で、Clos de Vougeot の上部に類似しています(3~4%の傾斜, バジョシアン石灰岩盤に粘土石灰質の表土)。標高は250m。Échezeaux の表土はより変化に富むものです(通常バジョシアン泥灰土と表面に小石)。230~300mに Climats があり、中腹で13%の傾斜となっています。上部では表土が深く(70~80cm)、小石、泥土、黄色の泥灰土などで、かなり複雑なモザイク模様を呈しています。(ブルゴーニュ・ワイン委員会)