Batard-Montrachet Grand Cru 2000/Loius Jadot

Batard-Montrachet Grand Cru 2000/Loius Jadot

正真正銘、世界で一番美味しい白ワインのうちの一つです。このBatardは2000年、先ほどのLE MESNIL よりも10年若いのですが、それでも琥珀色に光り輝いています。
香りは、バタール独特の濃厚さや柔らかく分厚いシャルドネの壁を感じたのですが、そのほかに微かにシェリー香も。
シェリー香(英:nutty/仏:arome de sherry)というのはその名のとおりスペインの世界三大酒精強化ワインの一つであるシェリーが持つ独特の香りです。これは樽貯蔵中に、産膜酵母と呼ばれるサッカロミセス・バヤヌスが繁殖することでエチルアルコールが酸化されてアセトアルデヒドに転じ発生する香りで、ロースト・アモンドの香りに例えられます。 酸化臭であるシェリー香は、シェリーが持つ独特の香りとして親しまれていますが、シェリーではない一般的なワインからこの酸化臭が見られると評価が下がります。しかしシェリーのほかにも、熟成を経た白ワインやシャンパーニュからこの酸化臭が生じても、それは熟成を経た証拠として好まれる傾向があります。

味わいも、まだ枯れてはなく力強さもあり美味しいのですが、このシェリー香が邪魔して、素直に味を楽しむことができませんでした。しかし、次の赤ワインに移り、暫くした時、M嬢が「あーっ、バタールが戻ってる!美味しいですよ!」とわけのわからぬ叫びを。そんな馬鹿なと思いつつも、グラスに鼻を近づけてみると、確かにシェリー香がしないのです。口に含んでも、飲み込んでも。シェリー香は消えていました。私も人並み以上に古酒は頂いていますが、シェリー香がついたワインのシェリー香が消えたというのは、初めての経験です。バタールは本来のバタールになり、熟成の味わいも加わり、私が個人的にいただいたトップに掲げられる白ワインとなりました。これこそ世界一の白ワインと称されるコート・ド・ボーヌ、バタール・モンラッシェGCのワインでした。

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