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広辞苑第七版で思い出した22年前のある事

1月12日、10年ぶりに改定版が出版された岩波書店の『広辞苑第七版』にはおよそ1万の新語が掲載されたそうです。しかし、その中の二つの意味が間違っていると指摘され、話題になっています。25日に岩波書店はこの過ちを認め、岩波の公式サイトに訂正を載せる一方で、次版では訂正する旨の声明を出しました。
ワインを長く愛されている方ですと、岩波が間違った、と聞くと「そういえば・・・」と思い出すことがあるのではないでしょうか。

その本とは1996年に刊行された岩波新書『ワインの常識』で、帯には「ワインは難しいか?日本人のためのワイン入門」と謳っています。ちなみに岩波の公式サイトでは<ワインというと肩に力が入りがちだが,こよなく楽しいこの「液体の食物」をもっと気軽に生活にとり入れるにはどうしたらいいか.それにはワインは難しい,ワインは銘柄ものに限るといった偏った常識から自由になる必要がある.豊かな実践経験をもつ著者が,日本人ならではの仕方でワインに親しむための知識と知恵を伝授する.>と紹介されています。あの岩波新書がワインの本を出すというので、当時注目を集め、ソムリエの資格を取って2年目の私も、すぐに買いに行ったものです。確か9月頃の発売だったと思いますが、年を越すころには、10刷となっていた記憶があります。それだけ注目され、売れたということです。

ところが、読み始めてすぐに眉をひそめるような表現や、誤りに出くわしました。私はすぐに間違いをチェックするために、もう一冊買い足すと同時に、知り合いの割とインテリなワイン好きの人々に連絡を取ってみました。中には同じようにこの本に違和感を感じている人もいました。暫くすると知人である著名なワイン・マニアがこの本の誤りを書籍にするためにまとめている、という情報が入りました。当時、まだ電子メールなんていうものはありませんので、私が確認した部分をその方にお送りいたしました。

この本は220ページの新書としては標準的な分量です。しかし問題はその誤りの数でした。『広辞苑第七版』は新しく追加された1万語の中で過ちは二つ。『ワインの常識』の場合は、優に200を超えるのです。

間違いがあると気づいて、探し始めると、面白いことに、間違いと断定する物差しがだんだんとぶれてきます。また、読む人によっても間違いではないが表現が妥当ではない、などというところまで、誤りに分類されてしまいます。いろいろ聞いてみましたが、この岩波新書の『間違い』は200から270と言ったところでした。まぁ、コンスタントに、1ページに一つ間違いがあると思って宜しいでしょう。こんな『ワインの常識』の本ですから、ワイン初心者にはとてもお勧めできません。「日本人のためのワイン入門」なんてとんでもないことです。ただし、長くワインを学んでいらっしゃる方、ソムリエ協会の資格でも取ってみようという方にはぜひお読みになることをお勧めします。<ワインの常識>に関する非常に良い問題集と言えます。残念なことに、現在書店では手に入りません。岩波の公式サイトでは、絶版ではなく、品切れとなっています。権威ある岩波新書、200を超す誤りを認めたくないのでしょう。

それではどのようにこの問題集を手に入れたらいいのでしょう。ご安心ください。amazonで何と1円から中古を買うことが出来ます。
問題集を買ったはいいが、答え合わせは??これもご安心ください。人間の科学社から『岩波新書「ワインの常識」と非常識』という本が出ています。これもamazonで中古本をお探しください。

話は、『広辞苑第七版』に戻ります。こうした出版社が力を入れている本を出す際には、出版社側は販売協力費という「お金」を書店側に出すことが往々にしてあります。『広辞苑第七版』の場合、岩波書店が出すのは、20部売ると、5000円、100部売ると3万5千円、500部売ると25万円という具合になっています。
『広辞苑第七版』は普通版が9000円ですから、500部ですと、4,500,000円売り上げると25万円キックバックがあるということです。
その分安くするか、間違えたところを直せるようなシールでも配ればいいと思うのですが。サイトで公開しておしまいにする、というのは、岩波書店というのはどこまで読者のことを考えない出版社なのでしょうか。

ちなみに、私の手元にあるのは大学時代から使っている第四版、電子辞書の中に入っているのは、第六版です。よく使うのは、三省堂の『国語辞典』です。

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ちょっと遅めの新年会 2018正月

1月7日15時30分 都内某所の友人のシニア・ワイン・エキスパートH女史宅でわたくしともう一人ソムリエールM嬢の3人が集まり、例年より少し遅めとなりましたが、恒例の新年会を開きました。
それぞれお宝のワインを持ってくるのが常なのですが、今年はかなりのワインが集まりました。最初は無類のシャンパーニュ好きのH女史のセラーからシャンパーニュ。出てきたのはアラン・ロベールのブラン・ド・ブランでした。しかも・・・。
(1)LE MESNIL Grand Cru Blanc de Blancs 1990/Alain Robert Pere et Fils

出てきたメニルは、もうかなりの琥珀色です。輝きのある色合いで素晴らしい存在を示しています。残念ながら泡は立ち上るというほどではなく、口に含むと微発泡が感じられるくらい。しかし、その濃厚さは、凛として、シャルドネの良さを表しています。
【ALAIN ROBERT】
サロン、クリュッグと並んで、ブラン・ド・ブランの三傑と言われ、パーカー氏からも5つ星の評価を受けたアラン・ロベール。近代化が進む中でも、「いいものだけを作る職人でありたい」と、伝統的製法を頑なに守るメゾンでした。今は幻のシャンパーニュとなりつつあります。

アラン・ロベールは、シャンパーニュ地方コート・デ・ブラン地区の、ル・メニル・シュール・オジェ村(グラン・クリュ村)を拠点とし、17世紀からの歴史を持つRM(レコルタン・マニピュラン=自家栽培の葡萄でシャンパーニュを造る小規模生産者のこと)の生産者です。現当主は、10代目のアラン・ロベール氏で、自社畑のシャルドネのみを使った、長熟型のブラン・ド・ブランを作るメゾンです。

ル・メニル・シュール・オジェ村のシャルドネは、ミネラル感がとても高く、作られるシャンパーニュは、若いうちはとても硬いので、ロベール氏は、ゆっくりと十分に熟成をさせてから世に送り出していました。「シャンパーニュを作るのに、時間がかかるのは当然のこと」と悠然としていて、また「いいものだけを少量生産する職人でありたい」と、例えばデゴルジュマン(澱引き)も、受注してから行うことにこだわります。するとボトルの中でより長く、澱とともに寝かせられる分、複雑味を増したシャンパーニュが生まれるのです。

PR活動もせず、流通量も少なく、知る人ぞ知る存在のアラン・ロベールでしたが、ロバート・パーカー氏から、最高の5つ星生産者の評価を受け、一躍有名になりました。しかし残念ながら、1990年を最終のヴィンテージとして、すでに畑は売却され、新規の醸造は行なっていません。現在は、残りの在庫を少しずつ出荷しています。

このまま濃厚なワインばかり頂いていると、サラダやスモーク・サーモンなどに合うワインがない、とセラーから選ばれたニュー・ジーランドのリースリング。豪州やニュー・ジーランドは割合良いリースリングにぶつかることが多いのです。ニュー・ジーランドでは、リースリングから遅摘み方式で作られる極甘口ワインも忘れてはいけません。今回はすっきりタイプのリースリングです。

(2)Riesling 2010/KUSUDA/New Zealand Martinborough

非常に酸味が洗練されているリースリングです。これだけの酸味があるにもかかわらず、とげとげしくないのは、同様に十分な糖分が裏でバックアップしているということでしょう。バランスが良い白です。

【KUSUDA WINES】
クスダワインズは、ニュージーランドの首都ウエリントンから車で2時間程の、北島を代表するワイン産地「マーティンボロ」にあります。オーナーであり、ニュージーランド唯一の日本人ワインメーカーである楠田浩之氏の、ワインへの情熱と愛情が造りだす素晴らしいワインの世界は、同じ日本人に生まれてきたことが誇らしく思える味わいです。
「日本の土から生まれたものでなくとも、日本人が世界をあっと言わせるようなワインを造れたら!」そんな思いを秘め、ピノ・ノワールの栽培適地として評価が高いマーティンボロに家族と共に渡った楠田浩之さんのファーストリリースができたのは2002でした。ファーストリリースワインが届く直前、 楠田氏からいただいたメールにこんな言葉がありました。  「ストーリーを押し付けるつもりは毛頭ありませんが、一人のワイン好きが9年かかって造る側に回った、という部分も合わせて楽しんで頂けたら尚良いかな」と…
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楠田さんがワインを学んだドイツのガイゼンハイムは、一流の醸造家を輩出している名門です。そしてドイツのワインといえば、酸味と果実味、ミネラルのバランスの良い、キリッとした白ワインを、多くの方が想像されることでしょう。まさに、そのガイゼンハイム仕込みの醸造技術と、楠田さんの醸造センスから、初めてとは思えない完成度の高いリースリングが生まれました。ほんの少し、心地よい残糖があります。 食事に良く合う、キリッとした風味とやさしい果実味が印象的です。クスダ・ワインズ初の白ワインです。

次に栓が抜かれたのは、ソムリエールM嬢が実家に隠しておいたという一品でした。
(3)Batard-Montrachet Grand Cru 2000/Loius Jadot

正真正銘、世界で一番美味しい白ワインのうちの一つです。このBatardは2000年、先ほどのLE MESNIL よりも10年若いのですが、それでも琥珀色に光り輝いています。
香りは、バタール独特の濃厚さや柔らかく分厚いシャルドネの壁を感じたのですが、そのほかに微かにシェリー香も。
シェリー香(英:nutty/仏:arome de sherry)というのはその名のとおりスペインの世界三大酒精強化ワインの一つであるシェリーが持つ独特の香りです。これは樽貯蔵中に、産膜酵母と呼ばれるサッカロミセス・バヤヌスが繁殖することでエチルアルコールが酸化されてアセトアルデヒドに転じ発生する香りで、ロースト・アモンドの香りに例えられます。 酸化臭であるシェリー香は、シェリーが持つ独特の香りとして親しまれていますが、シェリーではない一般的なワインからこの酸化臭が見られると評価が下がります。しかしシェリーのほかにも、熟成を経た白ワインやシャンパーニュからこの酸化臭が生じても、それは熟成を経た証拠として好まれる傾向があります。

味わいも、まだ枯れてはなく力強さもあり美味しいのですが、このシェリー香が邪魔して、素直に味を楽しむことができませんでした。しかし、次の赤ワインに移り、暫くした時、M嬢が「あーっ、バタールが戻ってる!美味しいですよ!」とわけのわからぬ叫びを。そんな馬鹿なと思いつつも、グラスに鼻を近づけてみると、確かにシェリー香がしないのです。口に含んでも、飲み込んでも。シェリー香は消えていました。私も人並み以上に古酒は頂いていますが、シェリー香がついたワインのシェリー香が消えたというのは、初めての経験です。バタールは本来のバタールになり、熟成の味わいも加わり、私が個人的にいただいたトップに掲げられる白ワインとなりました。これこそ世界一の白ワインと称されるコート・ド・ボーヌ、バタール・モンラッシェGCのワインでした。

ついでは、赤ワイン。これもグラン・クリュです。
1989年のブルゴーニュということで10日ほど前にクロネコでH女史宅に送り付け、セラーに寝かせるのではなく、冷たいところで立てておくようにお願いしました。ブルゴーニュでもこれくらい古いと澱が出てきます。しかも、ブルゴーニュの赤は、澱が出始めると細かい澱となるので、デカンタージュをしても取りきれないことがあるからです。10日も立てておけば、これまで30年近く寝かせておいた瓶の中の澱も、瓶の底に沈むのです。

(4)LA TACHE Grand Cru 1989, 04685  / Domeine de la Romanee-Conti

グラスにワインを注いだ瞬間、花のような香りが辺りに漂いました。注いでいる最中のワインの色合いは、まさに煉瓦色です。香りはまさに官能的、妖艶さが出ています。どのようにこの香りを表現したらよろしいのか、悩みに悩むところですが、下世話な表現が許されるならば、SEXYと言っても「すぐにお願いします」というSEXに直に結びついたセクシーさではないのです。自分のすぐ前に素晴らしいSEXに導いてくれるようなそんな目に見えない香りが漂っており、常に手招きをしてくれる、そんな官能的な香りなのです。
味わいはファーストアタックはもうこれ以上ないというくらいすべすべしていて心地よく、酸と糖分のバランスも、力強さも申し分ありません。しっかりしていますが、口に含んでいる間も、アフターも味わいというよりも、この妖艶な香りが常に口中にいる感じで、まるで体がふわふわ浮いているようでした。
1-2年パリのアパルトマンのカーヴで、以降日本の手作りのセラーで20数年保管してきましたが、壊れておらずほっとしたのと同時に、思っていたよりも何倍も、数段も美味しかったので、とても嬉しくなりました。

La Tâche
ロマネコンティの南に位置する「6.06ha」のピノ・ノワール種のブドウ畑で、DRCが単独で畑を所有しています。斜面の上下に広い畑のため、上部では重厚な、下部では繊細なブドウが採取されて、双方が交わりあうため、複雑で濃厚な味わいを生み出しています。
年間「約1,800ケース」が製造されており、1929年には「8万8125ドル」という値がついた記録も残されています。また、ラ・ターシュのワインは“悪いビンテージでも比較的安定して美味しい”と言われています。
色濃く、かなり凝縮された印象の味わいは、時に“ロマネコンティの腕白な弟”と呼ばれるほどで、独特の力強さと複雑さと強烈なアロマを感じさせてくれます。
力強いストラクチャーと類稀な長熟タイプであることのほかに、この偉大なワインはトリュフ、森の下草、なめし革、毛皮などの力強い第三のアロマを広げます。当然のことながら味の強い肉、ジビエ(蒸し煮、ソースまたはシンプルに網焼き)がよきパートナーとなり、また仔牛のローストやうずらのたたき湯葉巻きも、すばらしい Pinot Noir のしっかりしたエレガントなタンニンにくるまれることでしょう。(ブルゴーニュ・ワイン委員会)

ここで、簡単にDRCについて、まとめておきましょう。

【Vosne-Romanée 村】
Échezeaux (Flagey-Échezeaux) と Nuits-Saint-Georges に挟まれた Vosne-Romanée はCôte de Nuits 地区の真ん中を占めています。畑は標高 250~310mにあり、東と南東向きです。ブルゴーニュの首飾りの「真ん中の真珠」にあたる、Vosne-Romanée はエースを4つ集めるだけでは満足せず、世界的な名声のグラン・クリュを6つも抱えています。ヴェルジのサン・ヴィヴァンの修道士(クリュニー派)とシトー派の修道士が、1000年も前に、この類稀な terroirs を発展させました。18世紀、コンティ公は自らの名を畑の一つに与え(1760年)、以来その名前は畑とずっとともにあるのです。 Romanée-Conti は世界最良の畑の一つです(常にモノポール)。その隣の Romanée-Saint-Vivant は、高台にあり、現在修復中のサン・ヴィヴァン修道院の名がついています。ヴォーヌ・ロマネにある醸造所からここまで専用の小道があり、この周辺にあるDRC社所有のLa Romanée, La Tâche, La Grande Rue はいずれもモノポールとなっています。 Richebourg は金持ちの街という意味で、Vosne-Romanée の人気が昨日今日始まったのではないことが、この名前だけでもわかります。
Romanée-Conti は粘土質が多い褐色の石灰岩の表土(60cm)の上にあります。隣の Romanée Saint-Vivant も同じ土壌だがが、より深い(90cm)。斜面の上部は傾斜がきつく(12%)粘土質は少なくなる。 La Tâche と La Grande Rue は上部では褐色の石灰岩の浅い表土で、下部ではより深くなる(レンジヌ)。Richebourgの斜面も同様である。土台はPremeauxの硬い石灰岩。地質は1億7500年前のジュラ紀です。
これらの赤のグラン・クリュは長熟タイプで、通常少なくとも10年は寝かせることができます。20年から30年に及ぶこともあるほどです。それぞれがヴィンテージや熟成による変化にもとづいたはっきりした個性をもち、これらの華やかな赤ワインはブルゴーニュの Pinot Noir の繊細さ、複雑さを余すところなく表現しています。濃いルビー色は年とともに、真紅に変化し、口に含むと力強くはっきりとしたボディ、デリケートで官能的、ストレートで複雑さを感じることができます。

【DRC社の6つのグラン・クリュ畑】

★Romanée-Conti

醸造元を象徴する畑で、ドメーヌのもつ赤ワインの長所を凝縮した見事な味わいを生みだし続けています。壮麗、豪奢、神秘、奇跡、気品…と賛辞は限りありません。そのワインは信じられないほど長い間、口中に香りをとどめます。1.8haの全てを所有。 平均樹齢52年

★La Tâche

ロマネ・コンティ畑の南に位置し、斜面の上下に広がるため、上部の重厚さと、下部の繊細さがひとつになって奏でる独特の複雑な深みをもちます。色濃く、凝縮された印象のワインでしばしば「ロマネ・コンティの腕白な弟」と表現されます。6.1haの全てを所有。  平均樹齢年 45年

★Richebourg

ロマネ・コンティ畑のすぐ北に隣接。果実味に富んだ極めて魅惑的なワインで、熟成されるにつれて信じがたいような華やぎと官能的なまでの艶やかさを身につけていきます。その香りは「百の花の香りを集めてきたような」と形容されます。8ha中3.5ha所有。  平均樹齢年 39年

★Romanée-Saint-Vivant

ロマネ・コンティとリシュブールの東に広がり、斜面の下部に位置。繊細さの極みともいうべき風味の中に、大地からくるミネラルやハーブを思わせるようなニュアンスがまじり、特有の気品ある世界を織り成しています。9.4ha中5.3ha所有。  平均樹齢33年

以下はFlagey-Échezeaux村

★Échezeaux

グラン エシェゾーの西と南に広がる畑で、味わいはしばしば「グラン エシェゾーの弟」と表現されます。ドメーヌ ド ラ ロマネ・コンティのワインの中では最も早熟で、早くから楽しめます。軽やかで優美な、親しみやすいワインです。37.7ha中4.7ha所有。  平均樹齢31年

★Grand Échezeaux

ロマネ・コンティの北方約1km、有名なクロ・ド・ヴージョのすぐ西に隣接。赤や黒の果実の香りが凝縮されたようなまろやかで、コクのある極めて魅力的なワインを生み出します。「深い森を散策する夢見がちな貴族」という形容も。9.1ha中3.5ha所有。  平均樹齢51年

*Flagey-Échezeaux村のテロワール
Flagey-Échezeaux 村の上にあり、平地にある畑は、Côte de Nuits 地区の Vougeot と Vosne-Romanée の間にあります。畑はすべて東向きです。Grands-Échezeaux は Musigny 村の南に一列に並んでいて、境界はオルヴォー谷の下となっています。Échezeaux は Clos de Vougeot と Vosne-Romanée のプルミエ・クリュの畑を裁断するように存在しています。Grands-Échezeaux と Échezeaux は1937年7月31日にAOCグラン・クリュに認定されました。Clos de Vougeot 同様に12世紀から、13世紀にかけてシトー修道院により創設され、畑が壁で囲まれています。ガロ・ロマン時代には chesaux は住居のまとまりを指す言葉でした。おそらく古代の小集落だったのではないかと考えられています。
地質はジュラ紀(1億7500年前)。Grands-Échezeaux はかなり均質で、Clos de Vougeot の上部に類似しています(3~4%の傾斜, バジョシアン石灰岩盤に粘土石灰質の表土)。標高は250m。Échezeaux の表土はより変化に富むものです(通常バジョシアン泥灰土と表面に小石)。230~300mに Climats があり、中腹で13%の傾斜となっています。上部では表土が深く(70~80cm)、小石、泥土、黄色の泥灰土などで、かなり複雑なモザイク模様を呈しています。

次もグラン・クリュ。本日4本目のグラン・クリュです。
所は変わり、ボルドーのオー・メドック。いわゆるメドック1855年のグラン・クリュ4級に輝くワインです。

(5)CHATEAU BEYCHEVELLE 1990 / Saint-Julien /4em classe en 1855

信じられないようなシャンパーニュやワインが出てきた後のこのワインに対して、思わず冷たい視線を送ってしまいました。いくら90年とはいえ、メドックの4級が、ラ・ターシュにかなうわけがない、と。
しかし、BEYCHEVELLE 1990 は見事に期待を裏切ったのです。ファースト・アタックのその滑らかさは、まるで絹のようでした。私は自分でワインを採点するときは最初のワインの舌触りを<絹漉し豆腐度>5点満点で表します。それで言いますと、5.0/5,0でした。酸と糖度のバランスも5.0/5,0。力強さやポテンシャルも、まだまだ数年は飲むことができるという点では4.8/5.0でしょうか。アフタも十分で上品な酸味が喉と鼻に漂い5.0/5.0でした。このような完全に近いワインは早々お目にかかれません。一寸バカにしていただけに、その反動は激しいものでした。

【CHATEAU BEYCHEVELLE 】
シャトー ベイシュヴェルは所有面積250ha中、90haでブドウ栽培を行っています。メドックの中心地に位置し、深い礫層に覆われた土壌はベイシュヴェルから北に向かってラトゥールの畑まで続いている、カベルネ種の栽培に向いた土地です。平均樹齢は30年、カベルネ ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ フラン、プティ ヴェルドを栽培しています。減農薬法を行い、環境と人に配慮したブドウ栽培を実施、2005年には「Terra Vitis」の認証を得ています。また、2002年にはHACCP(食品製造における安全管理の手法)も導入、環境や安全に配慮しながら、伝統的な製法でワイン造りが行われています。
16世紀にこの城に住んでいたフランス海軍提督エペルノン公爵に敬意を払い、ジロンド河を通る船はこの城の前では「ベッセ ヴォワール(帆を下げよ)」と叫び、帆を下げて通っていました。この言葉が語源となり、ベイシュヴェルと名付けられました。シャトー・ ベイシュヴェルの城はボルドーで最も美しいと言われていますが、1757年にブラシエ侯爵が中世に立てられた城を取り壊し、その石材を使って建築し直した城です。

ベイシュヴェルでは17世紀中頃からワイン造りが行われていました。ブラシエ侯爵所有の時代頭角を現しますが、2代目がフランス革命により追放されて一時名声にかげりが見えました。しかし、その後パリの銀行家アルマン・アイン氏の所有に移り急速に復興します。彼の孫が亡くなった後、所有権が保険会社GMFグループに移り、1989年GMFとサントリーの共同出資会社グラン ミレジム・ド・フランス社の経営となりました。

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2018年1月6日 お昼のワイン会

★榎本シェフのお料理
アミューズ・ブーシュ スモークサーモン、フォアグラのテリーヌ

インドマグロのタルタル クレームエグールと彩り野菜

”スペシャリテ”釜揚げしらすのリゾット グラナバーノチーズのクロッカンと

旬の鮮魚(クロダイ)のポワレ アメリケーヌソース

オーストラリア産 仔羊背肉のグリエ

鎌倉街道”七国峠のたまご”を使った自家製プリン

オレンジ香るガトーショコラ キャラメルオレンジのアイス

★1月6日のワイン
(1)Crémant de Bourgogne Blanc de Blancs Brut NV
●生産地 Savigny-Les-Beaune村
●格付け AOC Crémant de Bourgogne
●生産者 Paul Chollet
●品種  シャルドネ 100%

(2)Le G de Château Guiraud 2014
●生産地 ソーテルヌ地区ソーテルヌ村
●格付 AOC Bordeaux Blanc sec
●生産者 Château Guiraud
●品種  ソーヴィニヨン・ブラン70%/セミヨン 30%

(3)Bourgogne Chardonnay 2014
●生産地 コート・ド・ボーヌ地区ピュリニィ村
●格付け AOC Bourgogne
●生産者 Etienne Sauzet
●品種  シャルドネ100%

(4)Château Puygueraud 1996
●生産地 リブルネ地区コート・ド・フラン サンシバー村
●格付け AOC Bordeaux Cotes de Francs
●生産者 Château Puygueraud
●品種 メルロ60%、カベルネ・フラン25%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%、マルベック5%

(5)Château Bahans Haut-Brion 2001
●生産地 グラーブ地区ペッサック・レォニョン村
●格付け AOC Pessac-Leognan
●生産者 Château Haut-Brion
●品種 カベルネ・ソーヴィニョン36%、メルロ52%、カベルネ・フラン12%(2001年キュベ)

(6) Morey-Saint-Denis Trés Vielles Vignes 2013 1188/1800
●生産地 Morey-Saint-Denis
●格付け AOC Morey-Saint-Denis
●生産者 Henri PION
●品種  ピノ・ノワール100%

★今月の一本

(5)Château Bahans Haut-Brion 2001
●生産地 グラーブ地区ペッサック・レォニョン村
●格付け AOC Pessac-Leognan
●生産者 Château Haut-Brion
●品種 カベルネ・ソーヴィニョン36%、メルロ52%、カベルネ・フラン12%(2001年キュベ)

●コメント
バーン・オー・ブリオンはボルドーの五大シャトーの一つ、シャトー・オー・ブリオンが手掛けるセカンド・ワイン。2007年からのセカンドは「ル・クラレンス・ド・オー・ブリオンLe Clarence de Haut Brion」というワイン名でリリースされているので、バーン・オー・ブリオンはその前身にあたります。驚異的なまでの濃密さと並外れたエレガントさが魅力です。
色合い
黒色のニュアンスもある濃厚な輝くルビー色。
香り
いささか閉じているが、ブラックチェリー、プラム、ミネラルの香りがするワイン。赤いベリーやスモーキーなアロマ。甘いカシスやプラムなどの黒系果実の芳醇な香り、タバコや黒色果実、スパイス、コーヒーなどの香り、ブラックカラント、カカオ、チョコレートやトリュフなどの複雑なニュアンス。
味わい
ミディアム・ボディーで秀逸な純粋さがあり、良好な舌触りと引き締まったタンニンに恵まれています。酸味は控えめで、アタックは柔らかく深い魅惑的な果実味の濃厚な味わいは模範的なグラーヴのスタイルを具現化しています。
「2001年は、瓶詰めされたのが遅く(2003年9月末)、間違いようのない高貴さや、成長著しい複雑さを持っている。縁までプラム/紫色をしており、ブレンド比率はメルロ52%、カベルネ・ソーヴィニョン36%、カヘルネ・フラン12%という手の内を明かさないもので、瓶詰め後は相当に閉じてしまった。それにもかかわらず甘酸っぱいチェリー、ブラックカラント、甘草、燻煙、細かく砕いた小石の純粋な香りがある。ミディアムボディで、純粋さは秀逸で、タンニンは硬く、過度のある、構造の感じられるフィニッシュを持つ。」(Robert Parker jr.)
●Château Bahans Haut-Brion
オー・ブリオンが手掛ける最上のセカンド。畑、葡萄の選定、醸造方法など、オー・ブリオンと変わらないこだわりと丁寧さがあり、セカンド・ワインというのはもったいないほどの品質です。 格付け第1級のファーストにきわめて近い、最上のセカンド・ワインといえるでしょう。
セカンド・ワインというと、シャトーによって、樹齢の若い葡萄を使用したものや、別の区画から取れた葡萄を使用するものなど様々ですが、オー・ブリオンの場合は、瓶詰め手前までグラン・ヴァンと同じように造っています。
グラン・ヴァンと同じ畑で育てた後に葡萄が選別され、グラン・ヴァンとセカンドに分けます。つまり、 オー・ブリオンと同じテロワールであり、同じ畑で栽培から収穫、製法までに同じように造っています。限りなくファースト・ラベルに近いセカンドと称される理由はそこにあります。
●Château Haut-Brion
全ボルドーの頂点に君臨する5つの第一級格付けシャトー。その中でも唯一グラーヴ地区から選出されたのがこの「シャトー・オー・ブリオン」です。世界で最もエレガント、そして香り高いワインとして一級格付けの中でも際立つ個性と存在感を醸し出すオー・ブリオン。近年においてはさらにテロワールの特徴を反映させたスタイルへと推移し、温暖な砂利質土壌というミクロクリマを素直に表現しています。
「ブラインド・テイスティングにおいて、オー・ブリオンが、第一級シャトーのなかでは最も外交的で軽いワイン、という印象をしばしば与えるという事実は興味深い。実際には、このワインは軽いのではなく、単に、オークの個性があって肉付きがよく、よりタンニンの多いメドックのワインや、よりシフトでメルロが支配的な、右岸でつくられたワインとは異なっているというだけなのだ。最高のヴィンテージにおいては、早熟であるにもかかわらず、このワインは30年かそれ以上熟成を続ける能力を持っており、ほかのいかなる第一級シャトーのワインよりも飲み頃である期間が長い。」(Robert Parker jr.)

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